局所麻酔薬はどうして効くのか

今日、首のリンパ節が腫れていたので耳鼻科に行ってきました。
喉の中を見ましょうと言われて人生で初めての喉頭ファイバーをしてもらったのですが、ゼリーのような麻酔薬をつけてもらっていても左目からは涙が出てくる始末。
インフルエンザの検査の時に鼻に突っ込む綿棒をより太くしてもっと奥まで刺したような感じでした。

麻酔薬がしっかり効いていたようで痛くはありませんでしたが、二度と受けたくない検査でした。

局所麻酔薬はどうやって効くのか


麻酔薬には大きく分けて2種類あります。
一つは今回の検査で使ったような意識を失わない、局所麻酔薬といわれるものです。
一方、手術の時に使われる寝てしまうような麻酔は全身麻酔と言います。
全身麻酔薬が効く理由はまだ十分に解明されていないといわれており、今回のエントリの内容からは外します。


いわゆる痛みという情報は傷や刺激を受けた部分から電気信号として神経を伝わって脳に到達します。
たとえば膝を擦りむいたときに痛いと感じるまでには、

 ①けがをした膝の皮膚に枝を伸ばす神経細胞が傷を受けたこと感知し電気信号を発生させる

 ②電気信号は神経細胞自体を伝わって足から脳に到達する

 ③脳に到達した情報によって私たちは「痛い」と感じる

というプロセスをたどります。


ところで局所麻酔薬は神経細胞の表面にあって細胞にナトリウムイオン(Na+)を入れるNa(ナトリウム)チャネルという酵素の働きを抑える働きがあります。

このNaチャネルは非常に重要なもので、先ほど出てきた①や②の神経細胞の電気信号を発生する時や伝達する時に不可欠な酵素です。

そのため局所麻酔薬を注入された細胞は、電気信号を作ったり伝達したりできず脳に信号が届かなくなります。
その結果私たちは痛みを感じることがなくなるのです。


ちなみにこのような局所麻酔薬として広く使われているのがリドカインという薬物です。

リドカインはその作用が現れるのが非常に速い薬ですので、ファイバー自体に塗り付けて鼻の奥にファイバーを入れてもほとんど痛みを感じることはありません。

先ほどのNaチャネルは神経細胞だけでなく心臓の細胞にもあって、心臓の収縮のペースにも大切なやくっめを果たしていることが知られています。
そのため、不整脈の薬として使用されることもあります。